てぃーだブログ › Michiko Nakanishi の世界

【PR】

Posted by TI-DA at


折節の歌たち 3

2012年02月27日

Posted by Michiko Nakanishi at 11:22 Comments( 0 )
親宝

 我んと お母ーと
 二人し歌いる歌ゆ
 お父やましうてい聞ちがうら
 皆し心合わせ
 通いる道や踊り道
 ヘイサーヨーヘイ
 ヘイサーヨーヘイ

 小さるばすぬ寝んじどくまや、お母ーぬ腹
 手足広げてぃ夢に見ちゃる島や
 生まり島
 目ひちゅらさぬ
 目パチパチ
 ヘイサヨーヘイ

 くぬ世に二人やうらん
 親や我ん宝
 腰ぬ痛でいん笑てい
 かめーかめーしは
 釜寄してぃうめーし渡する手の温かさ。
 ヘイサヨーヘイ


七色の恩

 ましだ物言らん子や片わらにうらん親思てぃ
 涙流ち泣ちゅる声や神に届ち
 いい子ないんどうー
 抱ち上ぎる重さ

 オバー ふちゅくる
 銭袋ん黒サーターんむるやむんち
 言いるオバーや
 歯見してぃ
 いい子どぉ いい子どぉ
 頭なでぃてぃ
 渡ていちゃる世間や
 久米島紬の糸ぬからみやしが
 天に登いる親に手合わせ
 七色ぬ橋渡てぃたぼり
 後姿七色の光り

 親あてぃどぅ
 くぬ世ぬ花見ちゃる
 忘りてぃならん
 真心ぬ手水

 あわりそうてぃ歌いる
 母ぬ歌声や
 子守歌
 年重にたる昨日今日
 さぁあっちみそうり親がなし親がなし
 手引ちゃびら




 登れをして
 真上に手を伸ばし雲を挟んだ
 意外と固い
 体の中から
 体の中から地上の苦しみが出て行くような気がした

 ブラリブラリ体が軽い
 左手の手の平で
 視界をなでた

 何の司令を受けているのだろう
 この国のキドウ調整?
 
 雲をつかむ手を変えた
 左手がおいでおいでをした

 そう
 北から幸わせがこちらに向かって来た
 真下を見ると
 みんな下れを始めている
 声がでない

 母の声が聞こえた
 気がついたら下山する私がいた

 ポンと肩をたたく人
 ”うん”とうなずく私

 誰に話そうか考えた


自心

 都会の無人島に一人
 ラジオが語る言葉が頭に入らない

 自分の中の何かと戦っているのだろう
 何を求めているのか

 心の底にある黒い湖
 青い色に変わることを待とう

 スイッチの切り換えはいつ
 見えるような
 見えないような

 青写真はすぐそこに
 このスタンスに吐く息白い


パワー

 今日一日頑張れば明日きっといい事がある
 そんな声をテレビが流した
 
 たった一日
 たった一日
 それなら出来る
 あさってしあさって
 
 見えなくていいような気もする
 今日と明日
 今日と明日
 頭の中で見えやすい
 
 同じ日は一度もない
 毎日変化するその日その日が
 積み重ねた写真のよう

 心にきざむ小さな物語
 生きてる間
 たえ間なく
 今日の日記を読み返す


幸福

 誰にも知られずにハエになった

 匂いに敏感になった
 ビックリは人の悩みが分かる

 彼女の足元をブンブン飛んだ
 むつかしく考えないで
 力を込めて飛んだ

 鼻の先に止まったら手で払われた
 頭のてっぺんに止まった

 考えが原点に戻った
 彼女がハッとする

 私羽根を広げた
 匂いが呼んでいる

 ハエは楽しい!


 


折り節の詩たち 2

2011年07月27日

Posted by Michiko Nakanishi at 11:10 Comments( 0 )


 6月の中旬
 セミが鳴いた

 来る夏を知らせる以外に
 何を言う
 命の限りに何を言う

 声がだんだん大きくなる
 分かってあげたいけど
 無理かも

 一切の音が消えた
 一瞬季節が 分からない

 さっきのセミの鳴き声

 思い出す
 
 まだ音がない
 
 次を待とう






無に見る 

 無の中にいる
 何もない
 あるのは時計の音と心臓の音
 遠い記憶がよみがえってくるよう

 頭の中で
 何かを探している
 
 小鳥の声が聞こえて消えた
 
 海が見える
 空が見える
 青の色がやさしい

 全身がその青に染まった

 変身する体が軽い
 ペンを持ったまま浮いた

 下を見ると
 色さまざまなビー玉が数え切れない

 まばたきすれば
 あ、消えた

 さらに体が軽い
 音もなく元に戻って
 年老いた母の顔が
 目の前にうかぶ

 そのあと更に無、なり






白いカラスよ

 あなたを見ています
 すぐそばで
 泣き笑いの白い歯と
 涙
 
 細腕を振り上げ
 訴えると
 しっかりとこの耳がとらえる

 羽根を一枚送ります
 この先の長い道のり
 あんなに光る
 まずしい道

 一人じゃない
 二人じゃない
 どんどん広がる人の輪に驚くでしょう

 羽根を二枚送ります

 今日、明日生きて
 確かな手応え
 感じてるはず

 心の目で
 人の道の正と負
 それで良い

 羽根を三枚送ります






未来

 天国を見た
 いつ、どこで?

 この世かもしれない
 懸命に生き抜いてきた

 振り返ると
 その時々の幸せ感

 春夏秋冬の色合いが
 目の前をかすった

 少し濃い目に入れた
 コーヒーの香りにホッとした

 風の音がする
 自然に上がった手が動き出す

 過去の幸せだけが入ってくる
 体のどこかで何かにつながっている

 誰かが呼んでいる
 力が抜けていく
 目を閉じたほほに
 ピチャピチャ
 水が遊んだ
 
 羊水の中で
 目を見開いた






ひとりごと

 愛って何
 食事と同じ必要なもの
 受ける愛と与える愛
 どちらが重い
 
 不足すると道をあやまる
 そんな話も
 一にぎりの愛を持って進めばいい
 ポケットに入れて会えばいい
 
 時々見分けがつかない時がある
 分からない時が
 そんな時って
 意外とたくさんあるのかも

 分からない
 何が愛か

 昨日まで勘違いの愛だった
 
 あ、そう
 分かりやすいのはあなたの愛です
 お母さん






 

 虫の気持ちが分かりますか
 いつもドキドキです
 いつ大足に踏みつけられるか
 突風に吹き飛ばされるか

 だいたい音が耳をつんざく音ばかり
 安らぎが欲しい

 あ、ヒョイ
 木の葉をうまくかわした
 これで2度目

 暗い
 方向を間違えた
 遠くに見える光
 どのぐらいの時間でいきつくのか見当つかず立ち往生して
 誰か気付くだろう

 飛ぶ?
 羽根がない
 雨が降った
 にわか雨
 体が流されていく
 痛い
 あちこち何かにぶつかっている

 雨が止んで気がついたら
 いつもの気の根っこにいる
 安心
 深呼吸






ハブは恐い 

 お札の束の上に
 ハブがとぐろを巻いている
 巻いている分だけしか飛ばないと聞いている
 おおよそ見当つけて
 離れて立った

 小さな風に
 お札の角がめくれた
 この一月ハブが頭の中にいた
 私に何かを伝えたいのか
 じっと動かないハブに
 ドクを思って
 数歩下がった
 目の前の光景から
 そのような気がする
 ありえない話
 でもハブはいる

 どうして足が逃げないのだろう
 ハブの電波受けているはずだが
 言葉として入ってこない

 今日、明日、あさって
 徐々に来る?

 ハブの神様
 私、巳年
 この何年かの苦労の一区切り
 締め!!
 
 目が覚めたら
 枕元の小銭入れが
 チャリンと音を立てた






ビックリ

 まぶしいほどに白い画用紙に
 青空色のクレヨンで塗りました

 ビックリです。
 一日に何回か見上げる空がそこにあります
 小さく、小さくなってそこにあります

 お母さん
 胸のうちで叫びました
 もしかしたら
 たいへんなことになっているのかもしれない
 でも、なぜか人に言えない
 秘密にしておこう
 みんなが騒ぎだすかもしれないから

 お姉さんにだけは
 言いたいけど

 先生も、絵を書いているみんなもこちらを見ていない
 よかった
 息をいっぱい吸った
 少し苦しい

 トイレに行きたいような気もする

 どうしよう
 家に帰りたい
 と、体がズンズン教室の外へ向かって歩き出す
 エイ、
 軒下から天を見上げた

 あった、あった
 いつもの青空が
 動くことなく
 静止している

 クレヨンを指でつまむと
 クルッと1回転させた
 小さな手を胸にあてた


折り節の詩たち 1

2011年07月27日

Posted by Michiko Nakanishi at 10:49 Comments( 0 )
ちいさな胸

 幼い日を引き戻してみる
 ちいさな胸は何かが埋まらず
 いつも泣いていた
 空の色・海の色
 白の中の一本だけのピンクのソーメン

 色にひそかにちいさな感動を覚えた

 そして淋しさ

 母がいて姉二人がいて
 その暮らしの中で
 形のないものを
 見つけようとしていた

 必ず見つかると
 自分で決めていた

 成長と共に
 ますます見つからず分からなくなった

 分かったような気がしたのは、たった今。

 長い間探していた
 それは、
 父

 母の隣にいるはずのない父を




そのまま

 先祖が来ました。
 私の部屋に
 長い話をしました
 なるほど、なるほど
 自分が分かる
 自分のスタンス

 この先もついでに、教えてもらいました
 でも知ってしまったら
 何だか面白みがない
 
 忘れよう すぐに
 それでよい






子守唄

 全てのフィルムを引き戻したら
 母のお腹の上で
 寝ていたあの頃
 自分の顔の何倍もあるままごとセットを手にした
 クリスマスの朝

 熱を出し 
 病院の帰りに買ってもらった
 ボンタンアメ

 恋心を知った日
 父との再会

 父を送った日
 いずれも消せぬ
 思い出
 
 写真のように
 頭の中に貼りついている
 父と母、足して私が存在する

 まだ元気でいてくれる
 母の姿がまぶしい






サバ缶

 人って年とともに
 郷愁を追い求めている
 視野の中にそれを見て
 歩き進む

 ふるさと
 幼なじみ
 シャボン玉

 サバ缶
 ソーメンチャンプルー
 ゴーヤーチャンプルー
 方言
 母の胸
 おヘソ






沖縄戦 

 戦争の話を
 聞いて育った
 授業時間
 ある部隊の生き残りの先生の拳振り上げる話は
 迫力があった

 60才手前の
 この年に近づけば近づくほど
 その話は鮮明になった

 もう一度聞きたい気持ちと
 今聞くのは少しきつい
 でも事実を知るところから
 何かが始まるのでは
 戦争からつながって
 今の自分
 頭の中いっぺんには整理つかない
 だけど、必ずつながっている

 今日、明日、明後日
 考えてみる






小宇宙

 何かに追われている
 行き場がない
 ここにとどまり
 ひたすら考える
 自分のちいさな世界が出来上がっていく

 あちこちにぶつかり
 抜け道が見つからない
 苦しいけど
 発展する考えが楽しく
 面白い

 只一人
 自分のその世界でグルグル回っている
 いつまで続くのだろう
 先が見えない

 TELで思うことを語った
 姉は、風邪をひいたカラスのように笑う
 自分の何かが見えていない
 
 言えるのは
 今、必死
 
 ある部分
 自分を見つめている
 もう一人の自分

 身長約50cm.の宇宙人の出現で
 幕が降りた

 非現実が飛んだ

 我に帰ると
 引越しの準備をはじめた
 所持金を確認する






母の杖

 もしも私に羽があったなら
 あなたを乗せて飛び立ちます
 お母さん
 その時は背中につかまって
 その杖はいらない

 どこに行きましょう
 若い日に夢を抱いた
 大阪ですか

 それとも
 ふるさと
 石垣ですか

 川平湾の海の色に染まると
 思い出があふれるでしょうか

 その思い出を
 たどってみましょう

 力の限り羽にゆだねて
 私は飛びます

 背中に感じる
 あなたの重さが
 私の生きるすべてです

 いつまでもいつまでも感じていたい
 88才のあなたが
 100才の日を迎えるまで
 いや、それ以上
 希望を持って
 天高く
 天高く









Michiko Nakanishi の世界

2011年05月28日

Posted by Michiko Nakanishi at 17:21 Comments( 0 ) 絵画
盲目の画家、中西三知子による形而上の世界
  “見えぬ世界で知る光明”
テーマ「青の沖縄ーそよぐ風の便り」




プラスワン

 平和を祈った。
 合わせた指先から
 何かがはじけて飛んだ
 翌朝
 88才の すっかり若返った母の声で
 TELがあった。



 ラジオで北の春を知らせた。
 テレビでは、どこの国だろう
 民衆の笑顔とうれし涙が
 画面から
 こぼれ落ちた。 



 新薬の成功に
 誰かがフッと
 息を吐いた。

 車椅子の買取りが
 始まっている。

 景色が
 鮮明さを
 取り戻した。



 喜びに舞った
 風が
 石敢當に止まった。



 光り群れにはぐれた馬が
 青空にこぼした黒いインク
 
 右手でなぞると
 手が汚れ
 余計しみこんだ

 左手で水をかけると
 模様を描いて
 広がった

 夜を待った。
 きらめく星の輝きと
 月の灯が救い



 まばたくと
 視界に一筋の光線
 飲み込んだ言葉
 軽く舌打ちする。

 必ず来る夜明け
 雑音が遠のいた
 いつもより数の多い
 小鳥のさえずりで目が覚めた。




 ベランダに立つと
 真っ青なキャンパスをあおぎ見た。
 
 大自然の一コマに
 静かにうなずく。